歯科矯正治療後に下顎頭のリモデリングを認めたアングルⅡ級2類患者の顎機能および画像評価

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  • Stomatognathic function and image evaluation for Angle ClassII Division 2 case with marked condylar remodeling

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抄録

上顎前歯の舌側傾斜,顎関節痛および開口障害を主訴として来院,治療後に下顎頭のリモデリングを認めたアングルⅡ級2類症例を経験したので報告する。患者は大阪歯科大学附属病院を受診した初診時18歳8か月の女性で,左右顎関節に間欠性ロックを伴う相反性clicking,左右顎関節運動痛および圧痛などを認めた。治療前のMR像で右顎関節の非復位性,左顎関節の復位性関節円板前方転位,顎関節規格断層X線写真で下顎頭の変形および後方位がみられ,顎関節症Ⅲ型およびⅣ型を伴う骨格性上顎前突症と診断した。下顎の機能的な後右方偏位を防ぐために咬合挙上型スプリントを併用しながら上顎をレベリングした後,上顎に下顎前方整位型スプリントを装着して下顎をレベリングした。下顎頭の下方位および下顎歯列正中の右方偏位改善のため,high pull headgear, palatal barおよび顎間ゴムを装着し,下顎左右第三大臼歯を抜歯して動的矯正治療を終えた。治療後,上顎前歯の舌側傾斜,過蓋咬合およびオトガイ部の後退感が改善し良好な側貌が得られた。顎関節および咀嚼筋の運動痛は解消したが,左右顎関節の圧痛およびclicking,左側咬筋および内側翼突筋の圧痛は残存した。開口域の増加,安静空隙量の減少,顎運動パターンの改善を認め,左右関節円板と下顎頭の位置が改善した。顎関節規格断層X線写真で下顎頭に二重外形線が認められ,下顎頭のリモデリングを認めた。下顎が非生理的に後上方位を呈している骨格性上顎前突症患者では,下顎位を前下方に維持しながら矯正治療することで,顎関節症とともに骨格性上顎前突症が改善されると考えられる。

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