造血器腫瘍の治療におけるG-CSF適正使用

  • 薄井 紀子
    東京慈恵会医科大学附属第三病院 輸血部/腫瘍・血液内科

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タイトル別名
  • Appropriate use of granulocyte-colony stimulating factor in treating hematologic malignancies
  • ゾウケツキ シュヨウ ノ チリョウ ニ オケル G-CSF テキセイ シヨウ

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抄録

造血器腫瘍治療におけるG-CSFは,造血細胞移植および化学療法の支持療法で大きな役割を果たす。造血細胞移植では,末梢血への造血幹細胞/前駆細胞の動員と移植後の好中球回復促進し感染症を制御する役割がある。白血病・リンパ腫などの治療においては,化学療法で発症する発熱性好中球減少症(FN)を抑制・予防し,化学療法の治療強度を保ち抗腫瘍効果を高める役割がある。これまで蓄積された臨床的エビデンスを踏まえ,国内外で作成された適正使用ガイドラインに基づき,化学療法のFN発症リスクに応じて,一次予防的あるいは二次予防的にG-CSFは投与される。FN発症リスクが非常に高い急性白血病治療においては,急性リンパ芽球性白血病はG-CSFの予防的投与の有用性が高い。リンパ腫治療においては,FN発症リスクが20%を越えるレジメンでは積極的に,10~20%のレジメンでは,FN・感染症重症化リスク因子を有する患者で一次予防的投与が推奨される。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (10), 2267-2276, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

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