血管性浮腫を伴った低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群の1例

DOI
  • 東 典子
    大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科学
  • 小豆澤 宏明
    大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科学
  • 吉岡 華子
    大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科学
  • 山岡 俊文
    大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科学
  • 片山 一朗
    大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科学
  • 榎本 圭佑
    大阪府立急性期・総合医療センター 耳鼻咽喉・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • Angioedema in a 49-Year-Old Woman with Hypocomplementemic Urticarial Vasculitis Syndrome

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抄録

40歳代,女性。初診の6ヶ月前より四肢・体幹に24時間以上持続する膨疹が出現することを繰り返すため近医を受診した。低補体血症と顔面や下咽頭の血管性浮腫を伴っていたため当科へ紹介となった。C1-INH 活性は正常で遺伝性血管性浮腫は否定的であった。蕁麻疹様紅斑は,消退時の色素沈着は明らかではなかったが,皮膚生検にて核破砕性血管炎を認め,抗 C1q 抗体が 53.4U/ml(<15U/ml)と陽性であり,低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群と診断した。DDS の効果は部分的で,蕁麻疹様紅斑と顔面の血管性浮腫が再燃したため,ベタメタゾン 1.5mg/日を導入したところ症状は改善した。低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群では抗 C1q 抗体が形成する免疫複合体による補体古典経路の活性化が血管性浮腫を生じさせると考えられており,随伴しうる多彩な全身状態や基礎疾患を把握し,診断および治療法を決定する必要がある。低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群は希な疾患であり,血管性浮腫がみられることが特徴の1つであるが,補体検査や皮膚生検を怠れば,I型アレルギー反応と誤って見過ごされる可能性があり注意が必要である。(皮膚の科学,14: 123-129, 2015)

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 14 (3), 123-129, 2015

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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