全身性エリテマトーデスに抗リン脂質抗体症候群を合併して発症した虚血壊死に対して,distal bypass 術を施行し治癒に至った1 例

DOI
  • 吉良 浩勝
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター心臓血管外科
  • 浅田 秀典
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター心臓血管外科
  • 片岡 剛
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター心臓血管外科
  • 白神 幸太郎
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター心臓血管外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case Report of Distal Bypass for Ischemic Necrosis Associated with Antiphospholipid antibody Syndrome and Systemic Lupus Erythematosus

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抄録

要旨:抗リン脂質抗体症候群は動静脈の両方に血栓症を引き起こし,全身性エリテマトーデスは時に血管炎を来たす.両者はしばしば合併するが,四肢が虚血壊死に至ることは稀である.症例は全身性エリテマトーデスでステロイド治療中であった60 歳女性.両側足趾の疼痛と色調不良が出現し,当科外来で抗血小板剤を開始したが,その後急速に左前足部全体と右第1,3,4 趾に虚血壊死が進行した.検査結果より抗リン脂質抗体症候群の合併を確認.下肢動脈造影で両側の前脛骨,後脛骨,足背動脈の閉塞を認め,右足部は腓骨動脈から足底動脈への交通枝によって灌流は維持されていたが,左足部は側副枝が細く著明な虚血状態であった.手術は左膝下膝窩動脈-後脛骨動脈バイパスと,同時に左全中足骨切断,右第1,3,4 趾切断を施行した.術後経過は良好で,術後2 年が経過してグラフトは開存し,下肢虚血症状の再燃を認めない.

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