ランチョンセミナー1 関節リウマチ治療における生物学的製剤を免疫原性の観点から考察する

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抄録

近年,関節リウマチ(RA)の治療体系が大きく変貌し,速やかに寛解を達成するために頻繁かつ厳密な薬物療法の調整が求められている.このような変革に病態に関わるサイトカインや免疫担当細胞を標的とした生物学的製剤の果たした役割は大きい.RAでは寛解導入を早期に達成するとともに,寛解を長期に渡って維持することも大切で,そのために効果減弱させない工夫や安全性マネージメントなど多面的アプローチが必要である.効果減弱(二次無効)の原因として抗製剤抗体の産生が大半を占める.全ての生物学的製剤は免疫原性を有し,抗原認識部位に対する抗イディオタイプ抗体だけでなく,マウス由来部分や人為的に融合させた部位に対して抗体が産生される.これら抗製剤抗体が産生されると製剤のリガンド結合が阻害されるだけでなく,免疫複合体形成を介したクリアランス亢進により血中濃度も低下する.さらに,抗製剤抗体は投与時反応を惹起することで安全面でも継続率を下げる原因となる.抗製剤抗体産生に関わる要因として疾患活動性,遺伝的素因,抗製剤抗体産生の既往,使用する製剤の免疫原性,投与法(用量,投与間隔,ルート),メトトレキサートなど免疫抑制薬の併用などが知られている.抗製剤抗体による二次無効を減らして長期の寛解を維持するためには,これら要因を考慮した生物学的製剤使用の最適化が必須である.

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