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抄録
【目的】炎症病態における細胞膜上の受容体型チロシンキナーゼRor1の役割が注目されている.本研究では,炎症性サイトカインで惹起されるRAの骨・軟骨破壊におけるRor1の役割をエピジェネティクス制御機構から検討した.【方法】FLSをIL-6で刺激後,Ror1発現をqPCR法で,Ror1プロモータへの転写因子の動員とヒストン修飾をChIP法で解析した.滑膜組織におけるRor1とMMP-13の発現分布を免疫染色で評価した.RAとOA由来FLSにおいて,種々の阻害剤を用い,MMP-13発現をqPCR法で解析した.対照およびc-Src阻害剤添加後,各種シグナル分子のリン酸化をWB法で,MMP-13プロモータに動員される転写因子をChIP法で決定した.【結果】IL-6刺激FLSはRor1プロモータにSTAT3を動員し,抑制系ヒストン修飾が検出され,Ror1の発現が抑制された.Ror1は滑膜表層にOA>RAで,MMP-13はOA<RAで発現した.Ror1発現抑制およびc-Srcを阻害されたFLSではMMP-13発現が増強した.c-Src阻害後,MMP-13プロモータにFoxO1が動員された.IL-6刺激後,MMP-13発現増強した.【結論】IL-6刺激FLSはSTAT3を介したエピジェネティック機序を介しRor1発現を抑制した.さらに,Ror1の下流にあるSrc-Akt経路不活性化によりFoxO1がMMP-13プロモータに動員されることでMMP-13が誘導された.以上,炎症性滑膜FLSにおいて,IL-6によるRor1発現低下がMMP-13発現誘導を介した軟骨基質分解を齎し,RA病態に寄与する可能性が示唆された.
収録刊行物
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- 日本臨床免疫学会会誌
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日本臨床免疫学会会誌 38 (4), 309a-309a, 2015
日本臨床免疫学会