P7-025 中枢神経ループスにおけるC5aの検討

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抄録

【目的】血液脳関門(BBB)の破綻による全身循環から中枢神経系への自己抗体の流入は全身性エリテマトーデス(SLE)の精神症状の出現と関連している.補体成分C5aはBBBに障害をきたす原因のひとつであることが報告されている.今回NPSLEにおけるC5aについて検討した.【方法】対象はSLE 64人(Diffuse NPSLE33人,Focal NPSLE17人,NPSLEでないSLE[Non-NPSLE]14人).ELISAで血清C5a,髄液C5aを測定した.BBBの機能の指標としてQalbumin,中枢神経内でのC5a産生の指標としてC5aindexを算出した.【結果】血清C5a値はDiffuse NPSLEではFocal NPSLEおよびNon-NPSLEと比較し有意に高値だった.髄液C5aはDiffuse NPSLEではNon-NPSLEと比較し有意に高値であり,Focal NPSLEより高い傾向だったが有意差はなかった.QalbuminはDiffuse NPSLEでFocal NPSLEに比べ有意に上昇していた.C5aindexはDiffuse NPSLEとFocal NPSLEで有意差はなかった.Qalbuminは髄液C5aと有意な相関を認めたが,血清C5a,C5aindexとの相関は認めなかった.【結論】以上の結果より,Diffuse NPSLEでは血清C5a,髄液C5aの有意な上昇を認めた.この髄液C5aの上昇は中枢神経内での産生ではなくBBBの破綻による全身循環からの流入に起因する部分が多いと考えられた.しかし,血清C5aとQalbuminには有意な相関が認められなかったことから,BBBの障害には他の因子が関与していることが示唆された.これについては今後の検討課題である.

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