P8-002 遺伝性血管性浮腫の急性発作治療薬へのアクセスが困難であった一例

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抄録

症例は,42歳男性.19歳時より原因不明の顔面浮腫の出現と軽快を繰り返していた.39歳時に他院で遺伝性血管性浮腫(HAE)の診断となり,42歳時に当院のHAE専門外来への通院を開始し,顔面浮腫などの急性発作時にはC1インアクチベーター製剤(C1-INH)を投与されていた.平成XX年10月末日に出張先の建設現場で,鉄パイプで下顎を強打したあとから著明な顔面浮腫が認められたため,近医の中核病院を受診するもC1-INHは常備されていなかった.しかし,喉頭浮腫による窒息が懸念され,C1-INH投与の必要性が考えられたため,C1-INHを確保できる当院にドクターヘリにて救急搬送された.しかし,ヘリポート到着時に急激な呼吸状態の悪化を認め,心肺停止に至り,直ちに心肺蘇生術が開始された.喉頭浮腫により口腔からの気道展開が困難だったため,緊急気管切開術を施行し人工呼吸器管理を開始するとともに,C1-INHを投与した.一連の心肺蘇生術の施行により心拍は再開し,脳保護のため低体温療法を開始した.連日,C1-INHを投与しながら全身状態を集中管理したところ,経過は良好で蘇生後脳症などの後遺症なく退院となった.今回,外傷を契機として致死的急性発作が出現したHAEの一例を経験したことにより,急性発作時の唯一の治療薬であるC1-INHを常備する施設を各地域の中核病院にも確保する必要性があると思われた.

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