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抄録
【背景】抗CCP抗体を含めた抗シトルリン化タンパク抗体は,関節リウマチ(RA)に最も疾患特異性が高い免疫異常であり,病因解明の鍵を握ると考えられる.抗CCP抗体の産生機序としてB細胞免疫寛容機構の破綻や,シトルリン化による新規エピトープの出現などが考えられるが,その詳細は不明である.また,これらが生体内で認識する抗原もよくわかっていない.我々はRA患者の抗CCP抗体遺伝子をクローニングし,その抗原特異性を報告しているが(Tsuda R et al., Arthritis Rheum, 2015),今回この抗体遺伝子を導入したマウスを作製することで,生体内でのCCP特異的B細胞の分化や機能を解析することとした.【方法】ヒト抗CCP抗体のH,L鎖の可変領域を,それぞれマウス定常領域を発現するベクター(慶應大学天谷雅行教授より供与)に組み込み,C57BL/6マウスに遺伝子導入した.【結果】遺伝子導入マウスでは,CCP特異的B細胞が骨髄,脾臓などで検出された.しかし,それらの細胞表面IgMの発現レベルは正常マウスのB細胞に比較してやや低下していた.血清からは抗CCP抗体が検出されたが,現在のところ関節炎等の症状は認めていない.【結論】CCP特異的B細胞はある程度の免疫寛容状態に陥っていることが示唆された.よってこれらのB細胞が生体内で認識する抗原は,正常個体にも発現していると推測される.
収録刊行物
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- 日本臨床免疫学会会誌
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日本臨床免疫学会会誌 38 (4), 336a-336a, 2015
日本臨床免疫学会