国内における再発・治療抵抗小児非ホジキンリンパ腫

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抄録

小児非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する治療は最近20年間に最適化され,生存率は80%以上に達している.一方,再発,あるいは治療抵抗例の予後は不良で,至適治療も未整備である.従来の多剤併用化学療法による治療開発は限界に達している感があり,分子標的薬を含む新規薬剤に対する期待が大きい.再発・治療抵抗例は,新規治療開発を目的とした臨床試験の対象になり得る.国内における再発・治療抵抗小児NHLの後方視的集計を示す.33例の再発・治療抵抗B細胞性リンパ腫(B-NHL)の生存率は20%であった.18例は化学療法に感受性で,寛解期に造血細胞移植(HSCT)が行われた5例中4例が無再発生存した.化学療法抵抗性の15例は全例死亡した.48例の再発・治療抵抗リンパ芽球性リンパ腫(LBL)の生存率は43%であった.25例は寛解,または部分寛解期にHSCTが行われ,自家(auto-)HSCTの6例中4例, 同種(allo-)HSCTの19例中6例に第2再発を生じた.26例の再発未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)の生存率は61%であった.24例が第2寛解に到達し,化学療法のみの10例中6例,auto-HSCTの8例中3例,allo-HSCTの6例全例が無再発生存した.化学療法抵抗性の克服,HSCTの適応の整備が課題と考えられた.再発・治療抵抗小児NHLに関する情報は限られている.新規治療開発を目的とした国際共同研究が期待される.

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