I.家族性大腸腺腫症の分子遺伝学─最近の知見─

  • 田村 和朗
    近畿大学理工学部生命科学科 兵庫医科大学外科学下部消化管外科
  • 松原 長秀
    兵庫医科大学外科学下部消化管外科
  • 冨田 尚裕
    兵庫医科大学外科学下部消化管外科

書誌事項

タイトル別名
  • Molecular Genetic View of Familial Adenomatous Polyposis with New Knowledge

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抄録

家族性大腸腺腫症(FAP)は遺伝的要因を基に大腸など消化管に腺腫性ポリープが多発する疾患である.Classical FAPの原因遺伝子はWntシグナル伝達系を負に制御するAPCタンパクをコードするAPC遺伝子である.もう1つの原因遺伝子は8-oxo-グアニンがアデニンと対合した場合,アデニンを除去する塩基除去修復機構にかかわるα-glycosylaseをコードするMUTYH遺伝子である.MUTYH遺伝子の両アレル変異で腺腫性ポリープが多発し,MUTYH関連ポリポーシス(MAP)と呼ばれている.さらに2種類のDNAポリメラーゼをコードする遺伝子の異常も多発性大腸腺腫症を生じることが明らかとなりポリメラーゼ校正関連ポリポーシス(PPAP)と呼ばれている.これらの知見を基に遺伝学的検査が可能になりつつあり,より一層適切な診療につながると考えられる.

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参考文献 (16)*注記

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