下大静脈閉塞を伴った多包性肝エキノコックス症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Hepatic Alveolar Echinococcosis with Complete Obstruction of the Inferior Vena Cava
  • 症例 下大静脈閉塞を伴った多包性肝エキノコックス症の1例
  • ショウレイ カダイジョウミャク ヘイソク オ トモナッタ タホウセイ カン エキノコックスショウ ノ 1レイ

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抄録

症例は43歳,男性.胸痛を主訴に近医受診.CTで肝左葉に腫瘤を認め,血清学的検査で肝エキノコックス症の診断となり当科紹介.術前画像診断で肝左葉~尾状葉に13cm大の病巣を認め,肝部下大静脈(inferior vena cava;IVC)は病巣により完全閉塞し,右副腎にも浸潤.側副血行路として奇静脈系が発達.肝左3区域・尾状葉切除および肝部IVC,右副腎合併切除を施行.肝上部IVCは右肝静脈を温存し,一部病巣を残して切除.肝下部IVCは腎静脈合流部頭側で縫合閉鎖.IVCは非再建とした.術後経過は良好でalbendazole (ABZ)を内服し,補助療法中である.周辺臓器に浸潤した肝エキノコックス症では可及的な病巣切除と術後ABZ内服で長期予後が期待できるため,積極的な手術を行う必要がある.IVC完全閉塞例に対する肝切除では,術前に側副血行路の発達があればIVC合併切除後の再建は不要と考える.

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