胃潰瘍の心囊腔穿破による心タンポナーデの1例

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  • Pneumopericardium Caused by Gastric Ulcer Perforation in an Elderly Patient

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抄録

症例は89歳の男性で,意識消失発作後のショックのため,当院搬送となった.胸部X線写真で心囊気腫を認め,CTでの胃内腔-心囊腔の交通所見から,胃潰瘍心囊穿破,心タンポナーデと診断した.全身状態の悪さから,経鼻胃管の間欠的吸引とCTガイド下心囊ドレナージによる保存的治療を開始した.バイタルはその後安定化し,炎症反応も順調に低下していたが,第14病日に突然死した.心囊気腫は,心タンポナーデとなると致死的な経過をたどる疾患であり,消化管と心囊腔の交通は,感染や消化液による化学的な刺激を生じ,これに続発する収縮性心外膜炎は生命予後を規定する因子となる.遭遇頻度が低いこともあり,同病態に対する外科的な治療の介入の必要性の判断,タイミングに苦慮することが予想される.今回,胃潰瘍の心囊穿破による心囊気腫の1例を経験したので,本邦における消化管穿破による心囊気腫の報告を集計し報告する.

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