指定管理者制度における業績評価の一考察

書誌事項

タイトル別名
  • A Study on Performance Evaluation for the Designated Manager's System:
  • 指定管理者制度における業績評価の一考察 : 大分県宇佐市のケースとBSCの導入可能性
  • シテイ カンリシャ セイド ニ オケル ギョウセキ ヒョウカ ノ イチ コウサツ : オオイタケン ウサシ ノ ケース ト BSC ノ ドウニュウ カノウセイ
  • ――大分県宇佐市のケースとBSC の導入可能性――
  • The Case of Usa City in Oita and a Feasibility of BSC

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抄録

指定管理者制度は,施設の設置者である地方公共団体と管理者である民間企業が,協働によって指定管理施設を運営していく官民協働事業であり,近年における地方財政の悪化や地方経済の停滞から脱却し,地域活性化を促進するための1つの起爆剤として考えられている。ところが,様々な問題から現時点では指定管理者制度による事業が地域活性化に貢献しているとは言えない状況であり,その問題の一因には,目的意識や求められる役割の異なる地方公共団体と民間企業を適切に評価するための業績評価体制が整備されていないことが根底にあると考えられる。<br>  この点についてさらに検討を進めると,地方公共団体は採算性だけではなく公共性を重視し長期的視点を志向しているが,民間企業では採算性が重視され,毎年度提出が求められる事業報告書や長くて5年の協定期間という制約もあり,短期的視点になりがちであることが明らかとなった。本稿では,地方公共団体の目的や役割と民間企業の目的や役割を明確にするとともに,両者がどのように補完され,両者の目的を反映した業績評価指標をどのように構築すべきかについて,宇佐市の指定管理施設を対象に継続調査を行い,明らかとなった内容をもとに戦略マップを作成・検討した。<br> 最後に,このように官民がネットワークを構築し協働で事業運営を行っている指定管理者制度では,「協定」または「地域概念」にもとづいたネットワーク組織が構築され,取引関係の存在を必要条件としないとき,組織間管理会計の概念とは異なった新たな管理会計理論が必要とされる。そこで,構築されたネットワーク組織に対する新たな管理会計理論について,メゾ管理会計の概念が適用できるかどうか検討の余地があることを示した。

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