PPS (post-pericardiotomy syndrome) に伴う難治性胸水, 心嚢水に対しコルヒチン投与が有効であった1例

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タイトル別名
  • A case of post-pericardiotomy syndrome with colchicine effective refractory pleural and pericardial effusion

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抄録

76歳男性. 連合弁膜症, 慢性心房細動に対し大動脈弁置換術, 僧帽弁形成術, 三尖弁輪縫縮術, 両房MAZE手術および心外膜側肺静脈隔離術を施行. 術後早期から大量の胸水貯留と炎症反応の持続高値を認めた. 利尿薬投与と頻回に胸水穿刺と排液を行うも胸水貯留は改善しなかった. 結核を含む感染症, 悪性腫瘍, 膠原病性胸水は否定的であり, 臨床経過から心膜切開後症候群 (post-pericardiotomy syndrome ; PPS) に伴う炎症性胸水と診断した. 術後6カ月目より開始した非ステロイド性抗炎症薬は一時的に有効であったが, 術後8カ月目から胸水の再貯留と心嚢水貯留を認めた. β遮断薬, アンジオテンシン変換酵素阻害薬, フォスフォジエステラーゼⅢ阻害薬による内科的薬物治療を強化するも胸水管理は困難であった. 初日のみコルヒチン1.0mg/日を投与し, 翌日よりコルヒチン0.5mg/日の投与を継続したところ, 胸水・心嚢水は著明に減少した. コルヒチン投与を継続し外来で経過観察中であるが, 胸水・心嚢水の再貯留はなく経過は安定している. PPSは比較的稀な病態であるが, 心臓手術後難治性の胸水, 心嚢水の治療に難渋することも少なくない. 近年の無作為割り付け試験においてPPSの予防におけるコルヒチンの有効性が示されている. PPSに対する治療としてコルヒチン投与の有効性を示唆する症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 46 (12), 1577-1583, 2014

    公益財団法人 日本心臓財団

被引用文献 (1)*注記

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