左側頭葉ヘルペス脳炎後, カテゴリー特異的傾向を持つ失名辞と漢字の音読・書字障害を呈した症例の障害機序について

  • 熊倉 真理
    公益財団法人慈愛会 今村病院分院 リハビリテーションセンター
  • 堂園 浩一朗
    公益財団法人慈愛会 今村病院分院 リハビリテーション科

書誌事項

タイトル別名
  • Investigation of a Case of Semantic Category-specific Deficits Accompanied by Alexia and Agraphia of Kanji after Herpes Simplex Encephalitis:
  • ―隠し文字法を使用した訓練経過における改善を通して―
  • Rehabilitation of Naming Using Phonetic Cues

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抄録

  漢字の音読/書字障害を伴うカテゴリー特異的傾向を有する失名辞を呈した左側頭葉ヘルペス脳炎後遺症例を経験し, その症状経過と訓練過程をもとに本症例の障害機序について検討した。本症例はカテゴリー特異的傾向を有しており, 工具での呼称学習が比較的速やかであったのに対し, 生物カテゴリーでの呼称は混合性錯語や tip of the tongue 現象を顕著に示し, 改善を認めなかった。視覚的認知/記憶が比較的良好であったことを生かし, 語頭音を絵カードの中に組み込む刺激を作成し, 訓練に使用したところ, 呼称成績は著しく改善し, 刺激を取り去ってもその効果は持続した。本症例は, 意味カテゴリー特異的失名辞を呈していたが, その機序として意味レベルと音韻レベルの相互活性化が, カテゴリーによる意味賦活系の差異を反映する形で脆弱化していたと考えられた。

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参考文献 (5)*注記

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