多汁で肉質の柔らかいマンゴー‘愛紅’果実の弾性指標と果実品質に及ぼす収穫時期および貯蔵温度の影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Harvest Time and Storage Temperature on the Elasticity Index and Fruit Quality of Juicy and Soft Fleshy Mango ‘Aikou’ Fruit
  • タジュウ デ ニクシツ ノ ヤワラカイ マンゴー'アイコウ'カジツ ノ ダンセイ シヒョウ ト カジツ ヒンシツ ニ オヨボス シュウカク ジキ オヨビ チョゾウ オンド ノ エイキョウ

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抄録

本研究は,多汁で肉質の柔らかいマンゴー‘愛紅’果実の日持ち性の向上を目的として,収穫時期と貯蔵温度が弾性指標および果実品質に及ぼす影響を検討した.果実は個々にポリエチレンフィルムでラップして貯蔵試験に使用した.自然落果前と自然落果後に収穫した‘アーウィン’と‘愛紅’果実を25°Cで保持したところ,‘アーウィン’の弾性指標は両収穫時期とも貯蔵2日後に80 × 105前後,貯蔵10日後には72~75 × 105に低下した.一方,‘愛紅’は,両収穫時期とも‘アーウィン’より減少程度が大きく,貯蔵10日後には43~46 × 105まで低下した.‘愛紅’では,弾性指標は果実熟度が進むほど低下し,果実の大きさに影響されなかった.20°Cで0~10日間貯蔵したところ,弾性指標は両収穫時期も貯蔵期間が長くなるにつれて低下し,貯蔵10日後には51~52 × 105まで低下した.果肉硬度についても貯蔵期間が長くなるにつれて低下し,弾性指標と密接に同調した推移を示した.自然落果前果実を15~25°Cで貯蔵したところ,弾性指標は急速に減少したが,10°Cで貯蔵すると減少程度が緩やかであり,貯蔵4日以降,他の温度よりも有意に高く推移した.次いで,自然落果後果実の10°Cで高く推移した.果皮色a値は自然落果前果実の10°Cで低く推移した.55°Cでの10あるいは15分間の温湯処理は弾性指標と果実品質に影響しなかった.弾性指標と果肉硬度の数値との間に比較的高い正の相関が認められた.以上の結果,‘愛紅’果実の日持ち性の向上のためには,自然落果が予想される2~3日前に収穫し,15~20°Cで追熟して着色を確保し,10°Cで貯蔵することが有効であると考えられた.また,多汁で肉質の柔らかいマンゴー果実の果肉硬度の評価に弾性指標が適用できることが明らかになった.

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 14 (4), 381-390, 2015

    一般社団法人 園芸学会

参考文献 (24)*注記

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