後期高齢者の前立腺がんスクリーニングの重要性

  • 熊坂 文成
    医療法人社団美心会 黒沢病院 予防医学研究所
  • 加瀬 嘉明
    医療法人社団美心会 黒沢病院 予防医学研究所
  • 山中 英壽
    医療法人社団美心会 黒沢病院 予防医学研究所
  • 戸塚 真弓
    医療法人社団美心会 黒沢病院附属ヘルスパーククリニック 高崎健康管理センター
  • 島田 和子
    医療法人社団美心会 黒沢病院附属ヘルスパーククリニック 高崎健康管理センター
  • 石井 秀和
    医療法人社団美心会 黒沢病院附属ヘルスパーククリニック 高崎健康管理センター
  • 曲 友弘
    医療法人社団美心会 黒沢病院 泌尿器科
  • 狩野 臨
    医療法人社団美心会 黒沢病院 泌尿器科
  • 小倉 治之
    医療法人社団美心会 黒沢病院 泌尿器科
  • 黒澤 功
    医療法人社団美心会 黒沢病院 泌尿器科

書誌事項

タイトル別名
  • Significance of Prostate Cancer Screening in Late-aged Men
  • コウキ コウレイシャ ノ ゼンリツセン ガン スクリーニング ノ ジュウヨウセイ

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抄録

目的:前立腺がんは典型的な男性高齢者がんである.日本では,2020年には男性のがんのなかで第1位になることが予測されている.我が国は,増加する高齢者に対応するために,新たに後期高齢者の医療保険制度を2008年4月にスタートさせ,75歳以上の者が後期高齢者と定義された.今回,後期高齢男性の前立腺がんの特性を明らかにする目的で,前立腺がん患者を調査した.<br> 方法:対象は2002年1月から2012年12月までに黒沢病院で発見された前立腺がん患者612人のうち,予後分類が可能であった436人と病理学的分類の検討が可能であった472人である.予後分類(検診発見群および外来発見群)と病理学的分類について,75歳以上と75歳未満とに分け悪性度を検討した.予後分類としてはUICC分類(第7版,2009年)を使用し,病理学的分類としてはグリーソン・スコアを使用した.<br> 結果:後期高齢者において,浸潤がん+転移がん(Ⅲ群+Ⅳ群)の割合は検診発見群では33.3%,外来発見群では47.1%であった.一方,75歳未満においては,検診発見群では18.4%,外来発見群では33.6%であった.すなわち,外来発見群は後期高齢者の浸潤がん+転移がんの割合は,75歳未満群のそれに比較して有意に高かった(p<0.05).PSA 10ng/mL未満群,PSA10~50ng/mL未満群において,後期高齢者のグリーソン・スコアは75歳未満のそれに比較して有意に高かった(p<0.05).すなわち,後期高齢者のがんは75歳未満のがんに比較して悪性度が高かった.<br> 結論:今回の我々の結果は,75歳未満の男性と同様に,後期高齢者の前立腺がん検診の重要性を示唆している.

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