左肺全摘後の横隔膜挙上に伴う食道の通過障害を認めた一例

書誌事項

タイトル別名
  • A case report of esophageal obstruction due to diaphragmatic eventration after left pneumonectomy

この論文をさがす

抄録

症例は77歳,女性.咳嗽を主訴に精査を受け,左肺癌の疑いで左肺全摘術ND2a-2を施行した.リンパ節の腫大を認め心嚢内肺静脈処理を要した.術後横隔神経麻痺を示唆する左横隔膜挙上を認めた.術後4日目に食思不振,嘔吐が生じ,胸部Xpで左横隔膜挙上,胃拡張像を認めた.保存的加療を行ったが症状は改善せず,9日目には食道拡張像が出現,上部消化管内視鏡及び食道胃透視を行ったところ閉塞機転を来すような腫瘍性病変を認めず,横隔膜弛緩を契機とした胃の過挙上による食道胃接合部の屈曲が原因と診断,翌日左第6肋間開胸で横隔膜縫縮術を行った.横隔膜に損傷は認めなかったが完全に弛緩していた.縫縮術施行後は食欲の改善を認め,再術後15日目に軽快退院となった.左肺全摘術後に食思不振,嘔吐を認めた場合,その一因として横隔膜挙上による食道胃接合部の通過障害を鑑別に挙げる必要があり,横隔膜縫縮術はその治療法として選択しえる.

収録刊行物

参考文献 (7)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ