東京都における大気中揮発性有機化合物の組成とOHラジカルとの反応による消失を考慮したCMB解析

  • 上野 広行
    公益財団法人東京都環境公社東京都環境科学研究所
  • 内田 悠太
    公益財団法人東京都環境公社東京都環境科学研究所 東京都環境局
  • 石井 康一郎
    公益財団法人東京都環境公社東京都環境科学研究所 東京都環境局
  • 齊藤 伸治
    公益財団法人東京都環境公社東京都環境科学研究所
  • 秋山 薫
    公益財団法人東京都環境公社東京都環境科学研究所
  • 横田 久司
    公益財団法人東京都環境公社東京都環境科学研究所 公益社団法人大気環境学会

書誌事項

タイトル別名
  • Composition of VOCs and Source Apportionment by CMB Considering Photochemical Reaction Losses with OH Radical in Tokyo
  • トウキョウト ニ オケル タイキ チュウ キハツセイ ユウキ カゴウブツ ノ ソセイ ト OH ラジカル ト ノ ハンノウ ニ ヨル ショウシツ オ コウリョ シタ CMB カイセキ

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抄録

東京都における夏季の光化学オキシダント(Ox)高濃度時の揮発性有機化合物(VOC)について、反応性を考慮した発生源寄与を得ることを目的に、都内3地点において100種以上のVOC成分の実測を行った。また、VOC成分とOHラジカルの反応速度定数およびエチレン/1,3-ブタジエン比から、反応による消失が進まなかった場合の濃度(光化学初期濃度)を計算した。エチレン/1,3-ブタジエン比を17として計算した都内3地点での光化学初期濃度は、夏季のOx高濃度時の日中で実測濃度の1.4倍程度あり、大気中に放出された成分の30%程度が光化学反応により消失していると考えられた。ただし、光化学初期濃度はエチレン/1,3-ブタジエン比により大きく異なり、特に反応性の高いイソプレンについては不確実性が大きかった。実測濃度ではなく光化学初期濃度を用いたChemical Mass Balance (CMB)解析は、排出インベントリとの比較から、より現実に近い結果が得られると考えられた。17(単一物質のプロファイル5種を含む)の発生源プロファイルを用いて行ったCMB解析の結果、Ox生成に重要なVOC発生源は、ガソリン車排出ガス、ディーゼル車排出ガス、ガソリン蒸気(給油ロス)、ガソリン蒸気 (Diurnal Breathing Loss: DBL)、塗装、植物起源のイソプレンの6種であった。また、その構成比は、都心の高輪では自動車関連の寄与が大きく、山間部に近い八王子ではイソプレンの寄与が大きいという傾向が見られた。寄与の大きいVOC成分は、ディーゼル車排出ガスではエチレン、ホルムアルデヒド、ガソリン車排出ガスと塗装ではトルエン等の芳香族化合物、ガソリン蒸発ガス(給油ロス、DBL)ではアルケンであった。

収録刊行物

  • 大気環境学会誌

    大気環境学会誌 50 (5), 207-225, 2015

    公益社団法人 大気環境学会

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