自己免疫性膵炎とIgG4関連硬化性胆管炎の診断における内視鏡の役割

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • ROLE OF ENDOSCOPY IN THE DIAGNOSIS OF AUTOIMMUNE PANCREATITIS AND IMMUNOGLOBULIN G4-RELATED SCLEROSING CHOLANGITIS

抄録

自己免疫性膵炎(AIP)は膵臓癌と,IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)は胆管癌や原発性硬化性胆管炎(PSC)との鑑別を要する.主膵管の長い狭細像,狭細部の上流主膵管の軽度拡張,スキップした狭細像,狭細部からの分枝膵管の派生などの膵管像は,膵臓癌よりAIPを示唆する.短い狭窄(band-like stricture),数珠状変化(beaded appearance),肝内胆管の減少(pruned-tree appearance)や憩室様突出(diverticulum-like outpouching)などのPSCで見られる特徴的な胆管像の変化は,IgG4-SCではほとんど見られない.一方,胆管の長い狭窄後の拡張所見はIgG4-SCに良く見られる.胆管狭窄部の経乳頭的生検は,胆管癌を否定し,IgG4免疫染色によりIgG4-SCの補助診断に有用である.主乳頭からの生検組織のIgG4免疫染色は,AIPの診断を補助する.造影超音波内視鏡(EUS)と超音波内視鏡下エラストグラフィーは,病変の組織学的本質を予測する可能性を持つ.管腔内超音波検査による胆管造影で狭窄のない胆管における胆管壁の肥厚所見は,IgG4-SCを胆管癌と鑑別するのに有用である.超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)は,膵臓癌を否定するために広く使われている.AIPの組織学的診断に足りうるだけの十分な量の組織を採取するには,EUS下のTru-cut生検や19ゲージの穿刺針を用いたEUS-FNAが推奨される.しかし,22ゲージの穿刺針を用いたEUS-FNAでも,取集後の注意深い検体処理と膵臓内でのFNA針の素早い動作により十分な量の組織を採取することができる.内視鏡所見の検証と内視鏡的に採取した組織による診断能を高める新しい技術やデバイスの開発が求められる.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204222322176
  • NII論文ID
    130005120460
  • DOI
    10.11280/gee.58.40
  • ISSN
    18845738
    03871207
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ