健常成人に発症した劇症型<i>Clostridium perfringens</i>の1剖検例

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  • An Autopsy Case of Fulminant Clostridium Perfringens Infection in a Healthy Adult

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抄録

症例は62歳,男性,腹部膨満感と腹痛で受診した。CTではS状結腸の軽度拡張を認め,感染性腸炎を疑った。対症的治療を行ったが,翌朝激烈な腹痛と高度の溶血が出現し,低酸素血症に陥った。CTで門脈気腫,胆管気腫などを認めたため,腸管壊死を疑って開腹手術を施行した。腸管に異常はなく,術後,溶血,敗血症から多臓器不全を呈し,受診から約24時間後に死亡した。剖検では,実質臓器の凝固壊死,グラム陽性桿菌と気腔が確認された。血液と胆汁培養からClostridium perfringensが検出されたため,本菌による敗血症を死因と考えた。本菌は腸管などの常在菌であり,宿主の免疫能低下状態で感染を起こすことはあるが,本例は健常成人だったにもかかわらず発症したまれな症例であった。溶血を示す時はただちに血液のグラム染色を施行し,大型のグラム陽性桿菌を認めた時は本菌感染症を疑い,速やかに治療を行うことが重要である。

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