妊娠29週に発症したS状結腸間膜内ヘルニアの1例

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  • A Case Report of Ileus due to Intramesosigmoid Hernia that Developed in the 29th Week of Pregnancy

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抄録

症例は35歳女性。妊娠29週に腹痛, 嘔吐を主訴に近医を受診し, イレウスの疑いで当院へ搬送となった。1回の経妊経産歴があり開腹歴はなかった。腹部単純CTで臍左側背側の小腸に閉塞機転を疑う所見を認め,小腸イレウスの診断で入院となった。第3病日になってもイレウス所見の改善がないため,緊急手術となった。まず帝王切開を施行した後に,腹腔内を観察するとS状結腸間膜左葉に2cm大の小孔を認め,Treitz靭帯から290cmの小腸が嵌頓しており,S状結腸間膜内ヘルニアによるイレウスと診断した。用手的に整復することができ,Richter型の嵌頓で腸管壊死は認めなかったため,イレウス解除術で終了し,術後6日目に軽快退院となった。児は生後5ヵ月明らかな障害はなく生存中である。妊娠時イレウスは母児ともに死亡率の高い疾患であり,積極的な検査と手術のタイミングを逸しないことが母児の救命に直結すると考えられる。

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