多発筋炎に対するステロイド治療中にサイトメガロウイルス腸炎による大腸穿孔を来した1例

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  • Large-bowel Perforation Caused by Cytomegalovirus Enteritis during Long-term Steroid Treatment for Polymyositis

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抄録

症例は70歳の女性で,5年前より多発筋炎と心房細動の診断でステロイドとワーファリンを内服中であった.2週間前から血便が続いていたが,突然の下腹痛が出現し来院された.左下腹部に限局した圧痛,反跳痛を認めた.腹部CT所見では,腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を行った.開腹するとS状結腸に約5 mm大の穿孔部位を認めたため,穿孔部腸管を切離し人工肛門を造設した.人工肛門として挙上したS状結腸粘膜にも複数の潰瘍を認めた.サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;以下,CMVと略記)腸炎を念頭におき術直後よりガンシクロビルを3週間継続投与した.術後経過は良好で第28病日に退院した.切除した腸管の病理組織学的検査所見でCMVの封入体が確認された.多発筋炎治療中のCMV腸炎による穿孔例はこれまでに報告がなくステロイド投与下の多発筋炎患者が消化管穿孔を発症した場合は,CMV腸炎を疑い早期の抗ウイルス剤投与を考慮する必要がある.

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