真菌細胞壁を分解する細菌型α-1,3-グルカナーゼの特性

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タイトル別名
  • Participation of bacterial α-1,3-glucanases on fungal cell-wall degradation
  • プロシーディング 真菌細胞壁を分解する細菌型α-1,3-グルカナーゼの特性
  • プロシーディング シンキン サイボウヘキ オ ブンカイ スル サイキンガタa-1,3-グルカナーゼ ノ トクセイ

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抄録

真菌細胞壁の主な構成多糖としてキチンやβ-グルカンが知られており,これらは細胞構造を維持する役割を担っている.これら多糖以外にもα-1,3-グルカンを細胞壁構成多糖として含む真菌が存在しており,近年の研究でα-1,3-グルカンの役割が明らかになってきた.例えば,いくつかの動・植物に感染する病原性真菌は,宿主に感染する際に積極的に細胞壁表層にα-1, 3-グルカンを生成し,これを宿主免疫システムからの攻撃を防ぐのに利用している.以上の背景から,α-1,3-グルカナーゼ(EC3.2.1.59)の真菌細胞壁溶解活性に関する研究が行われてきた.α-1,3-グルカナーゼは,アミノ酸配列に基づくグリコシドヒドロラーゼ(GH)分類に従うと,GH71型とGH87型の酵素に大別される.GH71型酵素は,Trichoderma属やSchizosaccharomyces属などの真菌類にその存在が報告されている.もう一方は,GH87型酵素であり,Paenibacillus属やBacillus属などに由来する細菌型酵素である.我々は,Bacillus circulans KA-304が生成するGH87型α-1,3-グルカナーゼ(Agl-KA)が,真菌細胞壁の分解活性を有することを見出し,その機能と構造的特徴を解析してきた.さらに,Agl-KAを利用した真菌プロトプラストの調製法に関して検討を行ってきた.本稿では,Agl-KAのドメイン構造とそれら機能を解析した結果を中心に,α-1,3-グルカナーゼ利用研究の現状についても報告する.

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