バルーン拡張術を行ったNutcracker 症候群の1 例

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タイトル別名
  • Nutcracker Syndrome with Pelvic Congestion Treated by Balloon Angioplasty: Report of a Case

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抄録

Nutcracker 症候群は左腎静脈が上腸間膜動脈と腹部大動脈の間で圧迫されることにより,骨盤内鬱滞症状を生じるまれな疾患である.バルーン拡張術により症状改善がえられた症例を経験したので報告する.症例は52 歳女性.左下腹部の痛みを主訴に当院を受診.腹部CT 検査により著明な左卵巣静脈瘤を伴う骨盤内鬱滞症候群と診断した.Nutcracker distance は3 mm で上腸間膜動脈と腹部大動脈の角度は13 度であった.右大腿静脈アプローチによりバルーン拡張術を行った.MUSTANG 8 mm×40 mm を使用し,6 気圧で狭窄部を拡張したところ圧較差は治療前4 mmHg であったが拡張後ほぼ消失した.治療後約1 年経過したが,現在のところ自覚症状は改善している.左腎静脈転位手術や自家腎移植術は侵襲が少なくはない.ステント留置やコイル塞栓術による治療報告があるが,長期に異物を体内に留置することによる諸問題が懸念される.再狭窄の可能性はあるが,侵襲が少なく繰り返し治療が可能なバルーンカテーテルによる拡張術は妥当な治療法と考える.

収録刊行物

  • 静脈学

    静脈学 27 (1), 33-37, 2016

    日本静脈学会

参考文献 (8)*注記

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