Fontan手術後の鬱血肝を背景に発生した肝細胞癌の1切除例

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  • A Resected Hepatocellular Carcinoma after the Fontan Procedure

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抄録

先天性心疾患に対する手術としてFontan手術が選択されるが,術後に慢性的な心拍出量の低下と血流鬱滞による肝障害が生じることが問題視される.肝細胞癌の合併例の報告も散見されるが切除例の報告は少ない.今回,我々はFontan手術後の鬱血肝を背景に発生した肝細胞癌の手術症例を経験したため報告する.症例は34歳の男性で,先天性三尖弁閉鎖症に対して幼少期の手術を経て19歳時にFontan手術を受けたが,術後15年目に肝S3に肝細胞癌を指摘された.肝S3部分切除術を施行したが,肝臓の線維化は術前の評価以上に進行しており,肝流入血遮断下に切除したもののFontan循環の影響により肝静脈の鬱血を来しており静脈性出血のコントロールに難渋した.肝線維化マーカーは正常であったが,背景肝はF3であった.Fontan手術後の肝細胞癌の症例に対しては,特殊な循環動態を含めた病態を理解したうえで手術に臨む必要がある.

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