アガロース・ポリアクリルアミド混合ゲルを用いたラクトフェリンの加熱変性に伴う構造変化の解析

  • 野呂 未来
    北里大学理学部物理学科生物物理学研究室 北里大学大学院理学研究科生物科学専攻
  • 大石 正道
    北里大学理学部物理学科生物物理学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Heat-induced complex formation of lactoferrin analyzed by an SDS-agarose-polyacrylamide (SDS-AG-PAGE) hybrid gel

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抄録

ラクトフェリン(LF)は細菌,菌類,原生動物およびウイルスに対する防御活性をもつ多機能タンパク質である.しかしながら,LFは熱に不安定であるため,加熱殺菌の過程で牛乳から失われやすい.そこで,LFが加熱によってどのような複合体を形成するかを解析するため,我々は,高分子量タンパク質複合体解析用にSDS-アガロース-ポリアクリルアミド(SDS-AG-PAGE)ハイブリッドゲルを開発した.我々は高分子量タンパク質解析のために,ゲル中のアガロース濃度(0–2%)とアクリルアミド濃度(0–5%)をさまざまに変化させて電気泳動を行い,最適条件を調べた.その結果,1%アガロース,4%ポリアクリルアミド,それに5 M尿素を添加した条件が,最適であることがわかった.また,このハイブリッドゲルは低濃度のアクリルアミドゲルよりも丈夫なので,取り扱いが楽になった.我々はこのゲルを用いて,加熱によって生じたLFの凝集体およびLF-カゼイン複合体を,SDS-AG-PAGEとウェスタンブロットを用いて解析することに成功した.以上のことから,SDS-AG-PAGE法は,さまざまな種類の高分子量タンパク質やそれらの複合体の解析に有効な手段であると考えられた.

収録刊行物

  • 電気泳動

    電気泳動 59 (1), 21-24, 2015

    日本電気泳動学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (5)*注記

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