ニューモシスチス肺炎を契機にHTLV-1感染が判明し,急速に成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)へ移行した1例

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  • A Case of HTLV-1 Infection That Was Discovered After Pneumocystis Pneumonia and Rapidly Transformed into Adult T-cell Leukemia/Lymphoma (ATLL)

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抄録

背景.ニューモシスチス肺炎(pneumocystis pneumonia:PcP)を契機にHTLV-1キャリアと判明し,その後急速に成人T細胞性白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma:ATLL)へ移行した症例を経験したので報告する.症例.61歳,女性.発熱,湿性咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部単純写真で右上肺野に浸潤影を認めた.市中肺炎の診断で抗菌薬を投与されたが改善を認めず,当科へ紹介受診となった.胸部単純CTで両上葉にすりガラス陰影と浸潤影を認めた.気管支鏡検査でPcPと診断し加療を行った.基礎疾患の精査を行ったところ抗HTLV-1抗体が陽性であったが,ATLLの確定診断には至らず,HTLV-1キャリアと診断した.しかし,血液検査のサザンブロット法でHTLV-1感染細胞は既にmonoclonalに増殖していることが示された.その後急速に両鼠径部のリンパ節腫大,直腸腫瘤の出現を認めATLLへ移行した.結論.HTLV-1キャリアにおいて日和見感染症を発症した症例では,ATLLへ移行する可能性があるため注意深い経過観察が重要と考えられた.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 38 (1), 12-19, 2016

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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