慢性骨髄性白血病とケモカイン

  • 向田 直史
    金沢大学がん進展制御研究所・分子生体応答研究分野
  • 馬場 智久
    金沢大学がん進展制御研究所・分子生体応答研究分野

書誌事項

タイトル別名
  • Chemokines in chronic myeloid leukemia
  • マンセイ コツズイセイ ハッケツビョウ ト ケモカイン

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抄録

慢性骨髄性白血病(CML)に特徴的に認められるBCR-ABL遺伝子を標的とした,チロシン・キナーゼ阻害剤が開発され,著明な治療成績の改善を見ている。BCR-ABL遺伝子発現CML細胞は,正常造血細胞と,骨髄内の限られた空間を巡って競合しながら増殖する。さらに,CML細胞は骨髄内微小環境を利用することで,チロシン・キナーゼ阻害剤に対して耐性を獲得する可能性も指摘されている。したがって,CMLの新たな治療戦略の開発には,骨髄微小環境内でのCMLと正常造血細胞との相互作用の細胞・分子基盤を解明する必要がある。本論文では,CML細胞による骨髄内微小環境の再構築過程において,ケモカイン,なかでもCXCL12・CCL3が果たしている役割について解説を加えるとともに,これらのケモカインを標的とした新たなCML治療法の可能性についても論じる。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 57 (2), 129-136, 2016

    一般社団法人 日本血液学会

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