躯幹と上肢に多発した硬化性苔癬の 1 例

  • 増田 亜希子
    唐津赤十字病院皮膚科 九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 伊東 孝通
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 土井 和子
    唐津赤十字病院皮膚科 九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 古江 増隆
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Disseminated Lichen Sclerosus of the Trunk and Upper Extremities
  • 症例 躯幹と上肢に多発した硬化性苔癬の1例
  • ショウレイ クカン ト ジョウシ ニ タハツ シタ コウカセイ タイセン ノ 1レイ

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抄録

41 歳,女性。初診の 4 年前より上肢に 2~3 mm ほどの白色丘疹が出現し,増数拡大した。初診の 1 年前には上背部右側に疼痛を伴う白色硬化性局面が出現した。初診時には上背部右側の病変は内部に紅斑と角化,およびびらんを伴っており,頚部から前胸部と前腕に白色陥凹局面が多発していた。外陰部にも同様の皮疹を認めた。ダーモスコピーでは病変は広範な “whitish patch” が主体で,毛孔には色素が残存していた。“comedo-like openings” は目立たなかった。病理組織学的には表皮の萎縮,過角化,真皮上層に浮腫及び弾性線維の細片化と消失がみられ,硬化性苔癬と診断した。ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート® )軟膏の外用を 2 週間行い,タクロリムス軟膏(プロトピック® 軟膏0.1%)外用に切り替えたところ,疼痛は消失し,びらんは上皮化した。硬化性苔癬の陰部外病変に対し,タクロリムス軟膏外用を行った症例は報告されているが,中でも奏効した症例は文献的にも比較的稀である。また自験例では,補助診断として,ダーモスコピーを用いたが,病変部位や時期によって所見の陽性率が異なるため,部位的時間的変化を念頭に置くことが重要である。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 77 (5), 479-482, 2015

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (9)*注記

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