腹腔動脈起始部狭窄を伴う膵頭部癌に対し,動脈血行再建(右総腸骨動脈-総肝動脈バイパス術)および膵頭十二指腸切除術を施行した1例

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  • Pancreaticoduodenectomy and Arterial Revascularization (Right Common Iliac Artery–Common Hepatic Artery Bypass) for Pancreatic Head Carcinoma with a Stricture of the Celiac Artery

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抄録

症例は73歳の女性で,腹部不快感を主訴に受診し,膵頭部癌と診断された.腹部単純CTにて腹腔動脈起始部に石灰化を伴う狭窄像を認めた.腹部造影CTでは正中弓状靭帯狭窄に特徴的な“hooked appearance”は認めず,血管造影では腹腔動脈の狭窄と,上腸間膜動脈から膵アーケード,胃十二指腸動脈から固有肝動脈への求肝性血流,総肝動脈および脾動脈への遠肝性血流を認めた.狭窄の成因として動脈硬化や外因性圧迫の可能性も考え,膵頭十二指腸切除術を施行した.腹腔動脈起始部の索状物切離を行ったが,最終的に肝動脈血流の改善はなく,消化管再建後,右総腸骨動脈-総肝動脈に大伏在静脈にてバイパス術を施行し,術後経過は良好であった.本例では術中に超音波ドプラによる肝内肝動脈血流測定することで,肝血流を簡易かつ安定性を持って評価できた.本疾患の存在を術前に把握することが重要であり,動脈血行再建の準備下に手術に臨むことが肝要である.

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参考文献 (21)*注記

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