胎児心臓腫瘍の3症例

  • 衛藤 英理子
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
  • 牧 尉太
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
  • 玉田 祥子
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
  • 江口 武志
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
  • 光井 崇
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
  • 平野 友美加
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
  • 高原 悦子
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
  • 早田 桂
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
  • 増山 寿
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
  • 平松 祐司
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Fetal cardiac tumor: a report of three cases

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抄録

稀な疾患である胎児心臓腫瘍を3例経験したので報告する.症例1は30歳の経産婦で,妊娠38週0日に当院へ紹介となった.胎児超音波検査では心室中隔から左心室内に径13 mm大の高輝度腫瘤を認め一部が左室流出路に突出していた.妊娠39週1日3,966 gの男児を経腟分娩した.日齢1に腫瘍切除術を行い組織診断は横紋筋腫であった.生後2ヵ月半の頭部MRI検査で結節性硬化症と診断され,てんかんを合併している.5歳の時点で腫瘍の再発は認めていない.症例2は30歳の経産婦で,妊娠29週5日に当院へ紹介となった.胎児超音波検査では左心室内,右心室内,右心房内にそれぞれ径14 mm,17 mm,5 mm大の高輝度腫瘤を認めた.妊娠39週5日2,866 gの女児を経腟分娩した.生後日齢3の頭部CT検査で結節性硬化症と診断され,てんかんを合併している.3歳の時点で腫瘍は不変である.症例3は36歳の初産婦で,妊娠19週5日当院へ紹介となった.胎児超音波検査では左心室内に径10 mm大の高輝度腫瘤を認めた.妊娠37週4日に3,006 gの女児を経腟分娩した.日齢13に心室頻拍を認め抗不整脈薬で治療を開始した.9ヵ月の時点で腫瘍は不変である.胎児心臓腫瘍の予後不良因子は腫瘍径20 mm以上,胎児不整脈,胎児水腫といわれている.胎児診断の重要性を再認識するとともに,更なる予後因子の検討のためにも症例を蓄積することは意義深い.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 43 (2), 311-315, 2016

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (2)*注記

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