めまいで発症し亜急性に四肢の筋力低下・歩行障害が進行した橋本脳症の1男児例

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  • Hashimoto’s encephalopathy presenting with vertigo and muscle weakness in a male pediatric patient

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抄録

 橋本脳症は甲状腺自己抗体陽性の自己免疫性脳症であり, 早期診断と免疫療法により治療可能な疾患である. 我々は亜急性に進行するめまい・筋力低下・歩行障害を主訴とした橋本脳症の13歳男児例を経験した. めまいで発症し, その後四肢の筋力低下を自覚, 発症後約6カ月時には自立歩行不能となった. けいれんはなかったが脳波異常を認め, 脳血流SPECT (single photon emission computed tomography) で不均一な脳血流低下を認めた. 甲状腺機能は正常であったが抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体などの抗甲状腺抗体の上昇あり, 血清中抗N末端α-エノラーゼ (NH2-terminal of alpha-enolase; NAE) 抗体陽性で橋本脳症と診断した. 免疫グロブリン大量療法, ステロイドパルス療法により症状が改善した. 小児においても原因不明の神経・精神症状を呈す症例では橋本脳症を鑑別にあげる必要がある.

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 48 (1), 45-47, 2016

    一般社団法人 日本小児神経学会

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