脊髄髄膜瘤におけるキアリ奇形Ⅱ型と呼吸合併症に関する検討

DOI
  • 水口 浩一
    国立成育医療研究センター総合診療部
  • 師田 信人
    国立成育医療研究センター脳神経外科 東京都立小児総合医療センター脳神経外科
  • 久保田 雅也
    国立成育医療研究センター神経内科

書誌事項

タイトル別名
  • Respiratory complications in children with Chiari malformation type Ⅱ associated with myelomeningocele

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抄録

 【目的】脊髄髄膜瘤のキアリ奇形Ⅱ型による呼吸合併症は, 乳幼児期の生命予後にとって重要である. その臨床像を明らかにするため, 診療録を用いた後方視的検討を行った. 【対象】2002年10月~2013年7月に当センターで髄膜瘤修復術を施行後, 継続して経過観察した50例. 【結果】最終経過観察時の年齢は4カ月~11歳2カ月で, 呼吸合併症は12名 (24%) で認め, 全例に水頭症とキアリ奇形Ⅱ型の合併を認めた. 発症時期は生後6カ月以内で, 特に生後2カ月以内が多かった. 呼吸合併症の種類は, 上気道閉塞6例, 睡眠時呼吸障害10例, 息止め発作10例で, 多くの症例は複数の呼吸合併症を有していた. 睡眠時呼吸障害では, 睡眠時無呼吸が6例, 中枢性低換気が4例であった. 予後は, 11例に上位頚椎減圧術を施行し, 術後5例で改善した. 術後改善しなかった症例のうち, 上気道閉塞例の1例では気管切開を要し, 中枢性低換気例の3例は気管切開下在宅人工呼吸を要した. 息止め発作は, 減圧術の有無にかかわらず, 経過とともに全例で改善し, 呼吸合併症例では死亡例は認めなかった. 【結論】乳幼児期の呼吸合併症を有する脊髄髄膜瘤は, 外科的減圧術に加え適切な呼吸管理を行えば生命予後は改善する. 症候性となったキアリ奇形Ⅱ型の早期発見には, 生後6カ月までの注意深い経過観察が大切である.

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 48 (1), 25-28, 2016

    一般社団法人 日本小児神経学会

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