悪性症候群剖検例における免疫組織化学的研究

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  • An immunohistochemical study in autopsied cases of neuroleptic malignant syndrome

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抄録

精神・神経作用薬の使用に起因する悪性症候群(Neuroleptic Malignant Syndrome: NMS)による急死事例では,法医実務上,死因究明のための一般的な解剖検査のみでは診断が困難とされている。 NMSの症状に高体温と筋強剛があることから,本研究では,熱ショック蛋白質の一つユビキチン(Ubiquitin: Ub)とCa2+放出チャネル蛋白質であるリアノジン受容体(Ryanodine Receptor: RyR)に着目し,診断に応用することで,NMSの法医診断に有用な指標となるか検討した。方法として,NMS12例,非NMS15例の各臓器を抗Ub抗体と抗RyR抗体を用いて,それぞれ免疫組織化学的に解析した。その結果,UbはNMS例の骨格筋で陽性細胞核数の割合が高く認められた。しかし,非NMS例のうち精神・神経作用薬を服用している事例の骨格筋においても,同様の結果となったため,診断指標として有用ではない。一方,大腰筋と視床下部でRyR陽性細胞が観察視野の1/3以上観察された場合,NMSと診断できる可能性があり,法医診断に有用な指標の一つとなると考えられた。

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