植物クチクラ膜におけるイオンの分配・拡散の電気化学的評価

  • 森野 志歩
    京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科物質工学専攻
  • 中田 実希
    京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科機能物質化学専攻
  • 杉本 満
    京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科物質工学専攻
  • 奥村 尚己
    京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科物質工学専攻
  • 福山 真央
    京都工芸繊維大学大学戦略推進機構系
  • 吉田 裕美
    京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科分子化学系
  • 前田 耕治
    京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科分子化学系

書誌事項

タイトル別名
  • Electrochemical Evaluation on the Distribution and Diffusion of Ions in the Plant Cuticular Membrane
  • ショクブツ クチクラマク ニ オケル イオン ノ ブンパイ ・ カクサン ノ デンキ カガクテキ ヒョウカ

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抄録

トマトとリンゴのクチクラ膜を未成熟段階と成熟段階に分けて採取,単離し,水溶液に浸したあと,水相とニトロベンゼン相の間に挟んでイオン移動ボルタンメトリーを実施した.サイクリックボルタンメトリー(CV)とポテンシャルステップクロノアンペロメトリー(PSCA)を適用した.クチクラ膜を透過させるイオンとして,農薬などのイオン性有機物を想定して,疎水性度の異なる各種4級アンモニウムイオンを用いた.CVあるいはPSCA測定を5~10分の時間間隔で繰り返し行うと,測定ごとに電流が減少し,その減少幅は徐々に小さくなった.電流の減少はクチクラ膜がない場合は観察されない.電流減少の程度は水相からの分配や膜内拡散の遅さを反映するので,それを利用してクチクラ膜におけるイオンの分配速度と拡散係数を評価した.膜内濃度の実測値を用いてみかけの拡散係数を評価し,さらに,簡易的なシミュレーションを適用し,水相と膜間の分配速度定数を見積もった.クチクラ膜の表裏,植物の種類や成熟度,イオンの疎水性,リンゴの果点の有無などに着目してイオンの分配・拡散過程を比較した.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 65 (3), 137-144, 2016

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (2)*注記

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