硬化性胆管炎の病理

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Pathology of sclerosing cholangitis

この論文をさがす

抄録

硬化性胆管炎は,肝内外胆管系に発生する線維増生を伴う慢性の炎症性疾患で,胆管壁の線維化,炎症性細胞浸潤などの病変のため,胆管壁が肥厚し,胆管壁外へも病変が波及する.胆管被覆上皮,胆管周囲付属腺,胆管を栄養している血管系にも種々の病変をみる.これらの変化のため,胆管内腔の狭小化,拡張が出現し,画像で検出可能となる.種々の病態で発生するが,原発性硬化性胆管炎が代表的であり,進行性で,胆汁性肝硬変へと進展する.最近,I型自己免疫性膵炎やIgG4関連疾患に関連したIgG4関連硬化性胆管炎の存在が明らかとなり,この硬化性胆管炎では,密なリンパ球,形質細胞の浸潤があり,特にIgG4陽性形質細胞の浸潤が高度で,ステロイド治療が著効する.さらに,続発性,獲得性の硬化性胆管炎として,虚血性硬化性胆管炎,特に肝移植後に発生する胆管狭窄,胆道閉鎖症,肝内結石症,感染性の硬化性胆管炎などがある.

収録刊行物

  • 胆道

    胆道 30 (1), 140-148, 2016

    日本胆道学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ