小児期にサルコイドーシスと診断された慢性肉芽腫症の一例

抄録

症例は 28 歳女性。11 歳時にサルコイドーシスの診断で治療歴が あるが、16 歳以降は病変消失し終診となっていた。2012 年 7 月 の健診で胸部異常陰影を指摘され、他院でサルコイドーシスが疑 われ 9 月に当院紹介された。当院来院時の肺病変はサルコイドー シスとしては合致せず、その他のサルコイドーシスを示唆する臓 器病変は認めなかった。経過中に移動する浸潤影を認めたこと、 アレルギー性肺アスペルギルス症(ABPA)の診断基準を満たし たことから、同疾患治療に準じステロイドと抗真菌薬で治療する も改善を認めなかった。2013 年 8 月に気管支鏡検査を再検し Aspergillus udagawae を同定した。慢性肺アスペルギルス症と考 え、ステロイド終了の上で同菌に感受性のある抗真菌薬のみで治 療したところ、浸潤影は改善傾向となった。小児期の経過を合わ せると、慢性肉芽腫症を背景に慢性肺アスペルギルス症を発症し たと考えた。食細胞活性酸素産生能の検査(DHR-123 法)で活性 酸素産生能の低下を認め、遺伝子検索で「p47 phox 欠損」を認め たことから慢性肉芽腫症(CGD)と診断した。成人発見の CGD で、サルコイドーシスとの鑑別も問題となった貴重な症例であり、 文献的考察を交えて報告する。

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