循環器内科医からみた心臓サルコイドーシスに対する <sup>18</sup>F-FDG PET の有用性と問題点

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  • 各種検査法の有用性と問題点

抄録

2012 年4月より 18F-fluorodeoxyglucose (FDG) positron emission tomography (PET)が心臓サルコイドーシス(以下心サ症)に保険適応となり、有用性と問題点が明らかになりつつある。FDG-PET は以前から用いられてきたガリウムより感度が高いといわれており、心サ症の早期診断に有用と考えられる。問題点としては正常な心筋細胞にも糖代謝が存在するため、生理的集積を完全に除外できないこと。一般にガリウムは心筋に集積した場合は活動性の炎症が存在すると判断されるが、FDG が心筋に集積した場合は、それが活動性炎症をあらわしているのか生理的集積をあらわしているのか迷う場合もある。もう一つの問題点は異常所見が報告者により様々で統一されていない点である。心筋局所の集積を定量化して standardized uptake value(SUV)を求める報告、心筋血流のトレーサーである 13N-NH3(アンモニア)PET やタリウムなどの SPECT を同時に施行し血流低下部位への 18F-FDG の集積を陽性とする報告、FDG の集積のパターンで局所的集積あるいはびまん性軽度集積の中の局所的集積(focal ondiffuse)を陽性とする報告など様々である。このような問題点を解決するために、2013 年 7 月に日本心臓核医学会から「心サルコイドーシスに対する FDG-PET 検査の手引き」が出された。この中では、生理的集積を抑制するために、絶食時間は 12 時間以上(現在では 18 時間以上)、前日の食事は低タンパク食(5g 未満)とするなどが盛り込まれており、異常所見の指針も提示されている。このような状況下で FDG PET を行っても実臨床の場では、臨床経過と PET の所見が乖離することはしばしばあり判断に迷うことがある。本シンポジウムでは循環器内科医として日常臨床の場で FDG PET を用いた経験よりその有用性と問題点を述べたい。

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