膵粘液性囊胞腫瘍由来が示唆される退形成性膵管癌の1例

  • 稲岡 健一
    独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科
  • 竹田 伸
    独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科
  • 近藤 建
    独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科
  • 稲垣 公太
    独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科
  • 木下 満
    独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科
  • 長谷川 和也
    独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科
  • 加藤 公一
    独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科
  • 中山 裕史
    独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科
  • 片岡 政人
    独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科
  • 森谷 鈴子
    独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター病理診断科

書誌事項

タイトル別名
  • Anaplastic Carcinoma of the Pancreas Possibly Associated with a Mucinous Cystic Neoplasm

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抄録

症例は68歳の女性で,上腹部膨満を主訴に当院を受診した.腹部CTにて,膵体尾部に13 cm大の多房性囊胞性病変を認め,夏みかん様壁肥厚と囊胞内に充実性部分を認めた.一年前のCTでは膵尾部に2 cm大の囊胞性腫瘍を認め,膵粘液性囊胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm;以下,MCNと略記)が急速に増大・癌化したと考え手術を施行した.開腹すると,腫瘍は胃体部大彎に広く接し,膵体尾部切除術・胃全摘術・リンパ節郭清術(D2)を施行した.摘出標本は囊胞成分と充実成分を有する径16×11×5 cmで内部に壊死物質を含んでいた.病理組織学的検査所見で退形成性膵管癌巨細胞型と診断した.また,囊胞の粘液性上皮下でcalretininが陽性を示し卵巣様間質の存在が示唆された.以上より,MCN由来の退形成性膵管癌の可能性があると考えられ,このような病理学的特徴を示した症例は世界的にもまれであり報告する.

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参考文献 (16)*注記

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