ロジン系サイズ剤とその技術動向(Ⅱ)

  • 河村 宅哉
    ハリマ化成株式会社 研究開発カンパニー 研究開発センター 製紙用薬品開発室
  • 糸瀬 龍次
    ハリマ化成株式会社 研究開発カンパニー 研究開発センター 製紙用薬品開発室
  • 増田 和香子
    ハリマ化成株式会社 研究開発カンパニー 研究開発センター 製紙用薬品開発室
  • 横田 健一郎
    ハリマ化成株式会社 研究開発カンパニー 研究開発センター 製紙用薬品開発室

書誌事項

タイトル別名
  • Recent Technical Trends and Application for Rosin Sizes (Ⅱ)
  • ロジン系サイズ剤とその技術動向(2)
  • ロジンケイ サイズザイ ト ソノ ギジュツ ドウコウ(2)

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抄録

ロジン系サイズ剤は,世界各国にて使用されている主要な製紙用薬品の一つである。また原料となるロジン(松やに)は,中国,北南米,欧州を中心に生産されており,日本ではハリマ化成グループが国内で唯一トールロジンを製造している。<br>このロジン系サイズ剤と硫酸バンド(Alum)とを組み合わせたサイジングシステムは,酸性から弱酸性領域での抄紙条件において効率良く紙へサイズ性を付与することができる。しかし近年では,古紙配合率の増加による抄紙pHの上昇や,抄紙系のクローズド化による電気伝導度の上昇により,Alumを介したサイズ性付与が困難になってきている。一方,現在,食品接触物の安全性確保から,食品に接触する紙や板紙に使用される薬品に対して,各国では規制が取り纏められつつある。北米では,米国食品医薬品局(FDA,Food & Drug Administration)の認証品を要求されることが一般的であり,日本でも日本製紙連合会が中心となり,パルプ及び抄紙工程で使用する化学物質の管理体制の整備を進めている。<br>このような状況の中,弊社では,これまでのサイズ効果,機械安定性および発泡性の特性を保持させ,且つ,FDA認証品となるアニオン性の新規ロジン系エマルションサイズ剤を開発した。さらに,これまで検討してきたロジン系エマルションサイズ剤のサイズ発現機構の知見を基にして,効率的なパルプ繊維へのサイズ剤成分の定着や,サイズ発現に重要と考えられるアルミニウムロジネートの形成を促進できる手法を検討した。その結果,新たな薬品添加システム“Co―mingle&trade;”法を開発した。今後,新規ロジン系エマルションサイズ剤と“Co―mingle&trade;”法の適用にて,紙・板紙の安全性と薬品コストの低減に貢献していく。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 70 (2), 128-133, 2016

    紙パルプ技術協会

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