腹部外傷による管腔臓器損傷に対する腹腔鏡手術の検討

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  • Evaluation of Laparoscopic Surgery for Injury of the Digestive Tract due to Abdominal Trauma Evaluation of Laparoscopic Surgery for Abdominal Trauma

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抄録

腹部外傷に対して緊急腹腔鏡を施した症例を鋭的損傷と鈍的損傷に分け,それぞれ開腹移行率,開腹移行の理由,術後合併症について後方視的に検討した。過去20年間に経験した腹部外傷手術は112例でそのうち緊急腹腔鏡を施行したのは36例であった。損傷形態の内訳は鈍的外傷が17例,鋭的外傷が19例。鈍的損傷17例中11例に消化管穿孔を認め,5例は小開腹下に縫合を行った。受傷から20時間を経過した穿孔症例では汚染による視野不良のため開腹移行する頻度が有意に高かった。鋭的損傷19例中消化管穿孔は2例のみであった。不必要開腹はそれぞれ5.9%,5.3%であった。術後合併症はそれぞれ0%,21%であった。消化管穿孔の見落としはなかった。腹部外傷において,CTで診断困難な管腔臓器損傷の診断に腹腔鏡は有用であり,腹腔鏡で観察することにより損傷箇所を低侵襲で修復することが可能となる。

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