門脈ガス血症を呈した穿孔性虫垂炎の1例

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  • A Case of PerfoRated Appendicitis with Hepatic Portal Venous Gas

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抄録

門脈ガス血症を伴った急性虫垂炎はまれである。われわれは同疾患の手術症例を経験した。本邦報告7例目であり,文献的考察を含め報告する。症例は73歳女性。3日前より持続する右下腹部痛と38℃台の熱発に引き続いて発生した嘔気,嘔吐にて紹介医を受診しイレウスの診断で当院紹介された。腹部は著明に膨満し板状硬で,全体に圧痛があり,腸蠕動は低下していた。血液検査で炎症所見上昇,腎機能悪化を認めた。腹部単純CTで肝表面のfree air,小腸の広範な拡張,肝外側区域の門脈ガス像,骨盤内小腸の腸管気腫を認めた。以上より骨盤腔内小腸の壊死による汎発性腹膜炎を疑い,緊急開腹術を行った。開腹すると腸管は発赤し著明に拡張していたが壊死,穿孔は認めなかった。回盲部で糞石を有する虫垂が壊死して穿孔していた。門脈ガス血症を伴った穿孔性虫垂炎と診断し,虫垂切除と腹腔ドレナージ術を行った。術後経過は良好であった。

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