敗血症性DICにおけるトロンボモジュリンの位置づけ

  • 伊藤 隆史
    鹿児島大学病院 救命救急センター 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 システム血栓制御学講座

書誌事項

タイトル別名
  • The role of thrombomodulin in sepsis-associated DIC
  • ハイケツショウセイ DIC ニ オケル トロンボモジュリン ノ イチズケ

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抄録

血管内血栓形成は組織への血流不全の要因となるため,有害なものとして捉えられる。しかしながら,感染症に伴う血管内血栓形成は,微生物の拡散を防ぐための初期感染防御機構として重要な役割を担っている可能性が指摘され,免疫学的血栓形成(immunothrombosis)として注目されるようになった。感染や組織損傷の兆候を察知した免疫細胞は,組織因子を発現したり,好中球細胞外トラップ(NETs)を放出したりすることによって,免疫学的血栓形成を立ち上げる。この反応は局所に留まる限りにおいては,生体防御機構として機能しうるが,全身に拡散すると多臓器不全をきたしてしまう。敗血症性DICの病態は,免疫学的血栓形成が全身に拡散してしまった状態として捉えることができる。本稿では,敗血症性DICの病態を考察しながら,遺伝子組換え型トロンボモジュリン製剤の可能性について概説する。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 57 (4), 405-411, 2016

    一般社団法人 日本血液学会

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