臍帯血移植後早期に発症した末梢神経障害

書誌事項

タイトル別名
  • Peripheral neuropathy occurring soon after cord blood transplantation
  • 症例報告 第2回日本血液学会関東甲信越地方会 優秀演題 臍帯血移植後早期に発症した末梢神経障害
  • ショウレイ ホウコク ダイ2カイ ニホン ケツエキ ガッカイ カントウ コウシンエツチホウカイ ユウシュウ エンダイ サイタイケツ イショク ゴ ソウキ ニ ハッショウ シタ マッショウ シンケイ ショウガイ

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抄録

我々は,移植後早期に末梢神経障害を来した症例を2例経験した。症例1はT細胞性急性リンパ性白血病の66歳男性である。骨髄非破壊的臍帯血移植(RICBT)後day8より両下肢・手掌の疼痛が出現し,筋力低下・歩行障害まで症状は進行した。髄液検査で蛋白細胞解離およびミエリン塩基性蛋白の上昇を認め,神経伝導速度は脱髄と軸索障害の所見であった。慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の診断基準を満たし,免疫グロブリン療法(IVIG)により現在は自力歩行で通院中である。症例2は原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫の42歳男性である。治療抵抗性でありRICBTを施行した。Day26頃より手掌と足底に発赤と痺れが始まり症例2と同様に進行した。神経伝導速度検査で脱髄と軸索障害の所見であった。IVIGを開始し,改善傾向にある。移植後末梢神経障害の診断は困難なことが多いが,免疫学的機序が原因の末梢神経障害を疑った場合は,早期にIVIGによる治療介入を行ってもよいと考えられた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 57 (4), 472-476, 2016

    一般社団法人 日本血液学会

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