心室中隔に発生した乳頭状線維弾性腫の1例

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タイトル別名
  • A Case of Papillary Fibroelastoma Originating on Interventricular Septum

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抄録

症例は85歳,女性.2011年12月に発作性心房細動と診断され,近医にて加療中であったが,動悸を頻回に認めるようになったため,2012年8月当院を受診した.初診時の心電図では洞性徐脈を認め,スクリーニング目的で経胸壁心エコー検査を施行したところ,心室中隔壁に付着する14×14 mmの可動性腫瘤を認めた.腫瘤の辺縁は不整で,エコー輝度は心筋と同程度であり,心周期と一致して表面の変形を認めた.カラードプラでは腫瘍周囲に乱流はみられなかった.また,中等度の大動脈弁狭窄,軽度の僧帽弁狭窄および僧帽弁逆流を認めた.CTでの全身検索で明らかな腫瘍やリンパ節の腫大が認められなかったため,原発性心臓腫瘍の可能性が高いと診断した.可動性に富んだ腫瘤であったことから,塞栓症発症の危険性が高いと判断し,腫瘍摘出術を施行した.同時に大動脈弁狭窄に対して大動脈弁置換術,僧帽弁狭窄,僧帽弁逆流に対して僧帽弁の後交連切開と後尖形成術を行った.摘出された腫瘍は,イソギンチャク様の絨毛状突起を認めた.病理組織所見では,弾性線維と膠原線維を芯とし,表面をCD34, Factor VIII陽性心内膜で覆われた乳頭状組織であり,以上の特徴的所見より乳頭状線維弾性腫と診断された.乳頭状線維弾性腫は,大動脈弁や僧帽弁などに好発するとされており,左室での発生は比較的まれであることから,本邦例に関する要約を加えて報告する.

収録刊行物

  • 超音波検査技術

    超音波検査技術 41 (2), 174-181, 2016

    一般社団法人 日本超音波検査学会

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