TGF-βによる免疫応答制御

  • 駒井 俊彦
    東京大学大学院医学系研究科アレルギー・リウマチ内科
  • 岡村 僚久
    東京大学大学院医学系研究科アレルギー・リウマチ内科
  • 山本 一彦
    東京大学大学院医学系研究科アレルギー・リウマチ内科
  • 藤尾 圭志
    東京大学大学院医学系研究科アレルギー・リウマチ内科

書誌事項

タイトル別名
  • The effects of TGF-βs on immune responses

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抄録

Transforming growth factor(TGF)-βファミリーは,広範な生物学的活性を有するサイトカインファミリーで,哺乳類では構造的相同性の高い3つのアイソフォームTGF-β1, 2, 3が存在する.免疫学においては,抗炎症作用を有する制御性T細胞(regulatory T cell: Treg)誘導能や,interleukin(IL)-6とのコンビネーションによる炎症性Th17(T helper 17 cell: Th17)細胞誘導能を有するTGF-β1に関する研究が中心となっている.TGF-β2およびTGF-β3は免疫学においては重要な役割を果たしていないと考えられてきたが,近年,TGF-β3によるTh17細胞の誘導や液性免疫制御能などが報告され,TGF-β3の免疫学的恒常性維持における役割が注目されてきている.抗炎症作用と炎症促進作用を共に有するTGF-β1とTGF-β3は,線維化や軟骨形成などに対しては逆の作用を有し,その治療応用にはTGF-βアイソフォーム毎の詳細な抑制メカニズムの解明が重要となる.本稿では,免疫制御機構におけるTGF-βファミリーサイトカインの機能および自己免疫疾患制御機構における役割や標的細胞に焦点を当て,当研究室で得られた最新の知見も含め概説する.

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参考文献 (20)*注記

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