極低出生体重児の先天性心疾患:1施設での検討

書誌事項

タイトル別名
  • Congenital Heart Disease in Very Low-Birth-Weight Infants: A Single-center Experience

この論文をさがす

抄録

背景:極低出生体重児(VLBWI)の救命率は著しく向上したが,先天性心疾患(CHD)を伴うVLBWIの検討は少ない.<br>目的:CHD合併のVLBWIの概要,中期予後の明らかにすること.<br>方法:2000~2006年に当院NICUに入院した456例のVLBWIを対象とした.CHDの診断は臨床症状含め全例心エコー検査で行い,手術,剖検例はその診断に従った.対象をCHD群,非CHD群にわけ,在胎週数,出生体重,染色体異常・奇形症候群,心外奇形合併率,また壊死性腸炎,慢性肺疾患などの罹病率と死亡率を両群間で比較した.CHD群では疾患別内訳,治療内容を検討した.<br>結果:CHD群は26例で,心疾患の発生は出生1,000に対して57人だった.染色体異常・奇形症候群,心外奇形合併はCHD群でそれぞれ38.5%,34.6%,非CHD群では1.9%,7.2%に見られ,非CHD群に比較しCHD群で有意に高率だった(p<0.05).疾患の内訳は心室中隔欠損症が最も多く(10例,38.5%),次いで大動脈縮窄症(3例,11.5%),房室中隔欠損,肺動脈狭窄,大動脈弁狭窄(各2例,7.7%)などであった.心臓手術は10例(38.5%)で施行され,約60%のVLBWIが循環作動薬を含めた内科的治療を必要とした.壊死性腸炎,頭蓋内出血,慢性肺疾患の罹病率,NICU入院期間は両群間で差はなかったが,CHD群の病院死亡率は26.9%,5年生存率は65.4%で,非CHD群(11.9%,86.2%)と比較して病院死亡率が高く,生存率は低かった(p<0.05).<br>結語:一般のCHDの頻度に比較してVLBWIにおけるCHD頻度は高い可能性があり,早期から治療を要する重症なCHDが多い.またCHD症例は染色体・奇形症候群,また消化管奇形などの心外奇形の合併が多く,CHDを伴わないVLBWIに比較して予後は悪い.

収録刊行物

参考文献 (20)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ