膵体部癌切除後に残膵再発との鑑別が困難であった自己免疫性膵炎の1切除例

  • 園原 史訓
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学
  • 藤井 努
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学
  • 山田 豪
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学
  • 髙見 秀樹
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学
  • 小寺 泰弘
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学

書誌事項

タイトル別名
  • Autoimmune Pancreatitis Mimicking Remnant Pancreatic Recurrence after Curative Resection of Pancreatic Body Cancer

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抄録

症例は55歳の男性で,健診にてエラスターゼ高値を指摘された.腹部CTにて膵体部に1.5 cm大の腫瘍を認め,脾静脈浸潤および総肝動脈周囲浸潤を伴う膵体部癌と診断された.S-1併用化学放射線療法を施行した後,亜全胃温存膵頭十二指腸切除,Child変法再建を行った.初回手術から2年11か月後のCTにて,膵空腸吻合部付近に局所再発を疑う所見を認めた.IgG4の上昇を認めず,超音波内視鏡検査所見,PET/CT所見から膵癌術後の残膵における異時性膵内再発と診断し,脾合併残膵全摘術を施行した.術後病理組織学的検査所見にて,病変部に著明な線維化および炎症細胞浸潤を認めた.免疫染色検査の結果,形質細胞の大半はIgG4陽性であり,自己免疫性膵炎として矛盾しない所見であった.膵癌術後の残膵における腫瘤性病変に対する診断および治療方針を考えるうえで,本症例は非常に示唆に富む症例であった.

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参考文献 (9)*注記

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